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鹿島、多重下請け見直し出資でグループ会社化
2015-11-29
鹿島、多重下請け見直し 出資でグループ会社化
多能工育成、品質・信頼向上狙う
多能工育成、品質・信頼向上狙う
ゼネコン(総合建設会社)大手の鹿島は下請けの工事会社に出資する。グループ会社化することで多能工を育成し、品質向上や人材確保を目指す。これまでゼネコンと下請けは資本関係を持たないのが一般的だったが、傾斜マンション問題で建設業界へ不信感が高まる中、出資を通じた強固な関係を築いて工事の品質を高めたい考え。今後、他のゼネコンに同様の動きが広がる可能性もある。
第1弾として来春をメドに内装工事の下請けに出資する。鹿島子会社の建材商社、大興物産(東京・港)が全国に内装の下請け約100社を持つ。このうち複数社と子会社化や資本参加の交渉を始めた。
足元では鉄骨の耐火性を高める工事の技術者が極端に不足するなど、工事内容によって人材の確保が難しくなっている。出資した内装工事会社の技術者を鹿島の工事現場で研修して多能工に育てる。鹿島が直接研修することで品質を高めたい考え。労働者の仕事の幅を広げて給料も増やして人手確保につなげる。出資先には仕事を優先的に発注する方針だ。
まず40~50人の多能工化を進める。出資先以外からも人材を受け入れて教育する。基礎や躯体(くたい)の工事分野でも同じ取り組みを広げる方針。優秀な人材を大興物産や鹿島の社員に登用することも検討する。
建設業界は元請けのゼネコンを頂点に幾重もの下請けが連なる多層構造をなす。バブルが崩壊した1990年代以降、人件費を削減したい建設各社が仕事の外注化を進めた経緯もあり、下請けの仕事が細分化した。
問題となった横浜市の傾斜マンションは杭(くい)工事は2次下請けの旭化成建材(東京・千代田)が手がけたが、実際の建設機械の操縦はさらに下請けの業者が担っていた。旭化成建材に限らず工事データの改ざんが相次ぎ発覚している杭工事は、何重かになった下請け業者が担当するのが大半だ。
日本経済新聞より