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公共工事入札、女性登用を条件に 国交省がモデル事業
2014-06-13
国土交通省は建設業で女性の活用を促すモデル事業を始める。女性技術者の現場への配置を入札の条件とする国発注の公共工事を、今夏に全国10カ所以上で実施する。女性就業者を増やす道筋をつけ、建設業の人手不足の解消につなげる。
国の出先機関である地方整備局や北海道開発局、沖縄総合事務局が手がける公共工事で、女性登用のモデル事業を実施する。第1弾として東北地方整備局が山形県東根市の橋の工事で入札説明書の交付を始めた。
モデル事業では入札に参加する建設会社に対し、現場監督を担う主任技術者や監理技術者などの立場で、女性を1人以上配置するよう求める。国交省予算での公共事業で女性の配置を条件とするのは初めて。
建設現場で働く女性のための環境整備にも取り組む。これまでは現場に女性向けのトイレや更衣室を準備するケースは少なかった。国交省はこれらの整備費を工事代金に適正に転嫁できるようにする。
日本建設業連合会によると、建設業就業者に占める女性の比率は2012年時点で13.9%と、全産業の42.3%を大幅に下回った。大手ゼネコンの技術職に限れば、女性は3.7%とさらに少ない。
女性の就労を促すため、国交省は今夏に建設業界団体と共同で行動計画をつくる。計画では女性の技術者や、鉄筋工や左官などの技能労働者を5年以内に2倍にする目標を掲げる。今回のモデル事業は、目標達成に向けた取り組みの柱となる。
建設業の就業者数は2013年時点で499万人と10年前と比べ105万人(17%)減った。00年代に公共工事を削減した影響だ。ところが、ここ数年は一転して東日本大震災からの復興やインフラの老朽化対策、20年の東京五輪を見据えた施設整備などで建設需要が急拡大。人手が足りず工事の遅れが問題になっている。
人手不足を補うため、政府は来年度から外国人労働者の受け入れを増やす方針を決めた。ただ、外国人の受け入れにも限度があることから、女性を含む国内人材の確保・育成も並行して進める。
日本経済新聞掲載